「都知事は官選に戻せ」という意見について
都知事の不祥事を受けて、「都知事は官選に戻せ」という意見を述べる方を何名が目にした。
理由を聞くと、「戦前は内務省の高級官僚があたっていたものだから」だと言う。
たしかに、行政の素人がいきなり行政のトップに立つことで実務的な問題が生じる可能性はあるかも知れない。
しかし、その帰結として「官選に戻すべき」という意見には賛同しかねる。
そもそもここでいう「官選」とは、戦前の制度を指すものであると考えられることから、
行政機関の職員を知事職にあてることを指す。
これは国政で言えば
行政機関の職員が内閣総理大臣を担当するということである。
そうなると行政に国民の意思が反映される余地は著しく狭くなる。
地方自治体においても、官選制下では民主的コントロールが失われ、行政に住民の意思が反映されなくなるだろう。
次善の策として考えられるのは、地方議会が議員の中から知事・副知事を選出することである。
いわば、地方版議院内閣制である。
知事は議会に対して単独で責任を負い、議会が知事を選出する。
こうすることで間接的に住民の意思を行政に反映させることができる。
とはいえ、アメリカにおいては合衆国大統領が行政を所掌していることを考えてみてほしい。
本当に素人は行政のトップに立つことができないのだろうか?